The便秘
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整腸作用のある食品の中でも、ビフィズス菌を含むヨーグルトなどの乳製品は老若男女問わず人気があります。ビフィズス菌は身体の中でどのような働きをし、便秘の解消にどのような役割を果たしているのでしょうか? ビフィズス菌の効果や歴史などを紹介していきます!
ビフィズス菌の力
小腸や大腸の中には、腸内細菌と呼ばれる約100兆個に及ぶ細菌が生息しています。大腸は、この腸内細菌の力を借りて小腸から送られてきた消化物を、発酵分解させて栄養分を取り出し吸収しているのです。
腸内細菌
主に大腸に生息する腸内細菌は、腸の中に独自の生態系を作り上げ共存しています。この大腸の中の生態系を「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」と言います。この腸内細菌叢は、人間にとって有益な働きをする「善玉菌」と、有害な働きをする「悪玉菌」に大別されます。ビフィズス菌は、前者の善玉菌に属しています。
原理
ビフィズス菌は1899年に、フランスのパスツール研究所で発見されました。Y字やV字に分岐した独特の形状をしていることからラテン語で「分岐した」という意味を持つビフィズスという名前が付けられました。
働き
ビフィズス菌は乳酸菌の一種で、腸内に生息する乳酸菌類は糖分を分解して乳酸や酢酸を合成する働きを持っています。乳酸や酢酸を合成して腸内を酸性化することで悪玉菌が活発に働けない環境を保つのが、腸内でのビフィズス菌や乳酸菌の働きなのです。
また、ビフィズス菌や乳酸菌は、腸内でビタミンB郡やビタミンKを合成する働きを持っています。細菌類などの原始的な生物には、人間が失ったビタミンを自家合成する能力が備わっており体調を維持するための大きな役割を持っています。
便秘との関係
なぜ、ビフィズス菌や乳酸菌が便秘の解消に効果があるのかというと、便秘の原因となる悪玉菌の働きを弱めることで間接的に便秘を解消しているからなのです。悪玉菌と呼ばれるウェルシュ菌やブドウ球菌は、たんぱく質を分解して腸内をアルカリ性にして有害物質を生成する働きを持っています。
悪玉菌が生成する有害物質は腸の働きを弱め、便秘や大腸がんの原因にもなるのです。腸内細菌叢の中では、善玉菌よりも悪玉菌の方が優勢であるといわれています。だからこそ、ビフィズス菌や乳酸菌の摂取が便秘に効果があるということなのです。
ビフィズス菌の活用法
ビフィズス菌や乳酸菌を配合した食品のうたい文句として「プロバイオティクス」という言葉が良く使われるようになっています。このプロバイオティクスというのは、抗生物質を意味する「アンチバイオティクス」の反対語として作られた言葉です。
つまり、「食品から身体に良い成分を自然に摂取する」ことを目的としているのがプロバイオティクス食品ということなのです。
食品からの摂取
「乳酸菌を食品から摂取することで腸内環境を改善する」という考えを発案したのは、1908年度のノーベル賞受賞者であるイリヤ・メチニコフです。メチニコフは免疫の研究において多大な功績を残した化学者として知られており、「体調の不良は腸内環境の悪化にあり、乳酸菌を含んだ食事で腸内環境を改善できる」という研究を発表しました。
この研究の中でメチニコフは乳酸菌を豊富に含むヨーグルトの摂取を薦めています。しかし、現在の研究では食品に含まれるビフィズス菌や乳酸菌は腸に達する前に胃で滅菌されてしまうということが明らかになっています。
腸内の善玉菌を増殖させる
ビフィズス菌や乳酸菌を食品から摂取するのは、あまり効率が良いとはいえません。しかし、腸内のビフィズス菌や乳酸菌はある栄養素を摂取することで増殖が促されることがわかっています。その栄養素こそが「オリゴ糖」です。オリゴ糖は糖類の一種で、ヨーグルトにも含まれています。つまり、ヨーグルトを食べて便秘が解消されるのはオリゴ糖の力でビフィズス菌が増殖しているからなのです。